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震災に遭って思ったこと

 

田 中 好 子
(西宮市)

 

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突然の大地震が起こした混乱も落ち着き、町は着々と復興して2年目の夏を迎えました。震度7の激震で極限状態に陥った私は「地球が破滅する」と思い、主人は「黒い悪魔が自分を揺さぶっている」と感じていました。時間が経つにつれ幸運にも生き延びたと知った私は、行政相談委員という肩書をしばし忘れ、手近な範囲で苦情を聞いたり、他府県の身内に引き取られた人達に市の行政情報を伝えたりしていました。
災害は人を原点に戻します。人の和は自ずから芽生え、パンやおにぎりを分け合いながら親しく助け合った感触は、幼い頃の隣近所の付き合いと同じでした。
1年後、私は地元の「地域フォーラム」に婦人会から参加し、分科会の皆さんの意見を集約・発表させていただきました。地域の和を基本に、正確な情報の取得、状況把握、地域防災組織の確立とリーダーの養成に努めるべきことを再確認しました。人間性に根ざしたこまめで地道な苦情処理活動と、地域を組織化する体制づくりと、そしてこれはちょっと私には手の届かない税務や不動産と建築に関する厳密な相談、これらが市民の渇望していたものなのでした。今回の震災によって、私の行政相談委員としての活動の限界と新たな原点がみえてきたような気がしました。

 

 

温かい「かす汁」があたためたもの

 

梶 説 子
(西宮市)

 

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「子供の帰りを待って、来ました。」と餅つきの終わった避難所に幼い子ども3人を連れて来られた若いお母さん。「炊き出しの温かい食事が届いた時、涙が出てお礼状が書けませんでした。」と言われた避難所の方・・・。この様な方々とお話する都度、私は何度も思わず目頭が熱くなりました。
本当に大地震は天と地をひっくり返しました。
西宮市中南部の激震地に比べると、私が住んでいる西宮市北部の山口地区は、一部を除き比較的被害が少なく、消防団の救助活動、自治会、婦人会等のおにぎりの炊き出し、義援金の集金等、いち早く救援活動を始めることになりました。私も、全国から届けられた心温かい救援物資を一刻も早く被災された方々の手に行き渡るようにと、多くの地域のボランティアの方々と共に、連日、物資の仕分けや配送などの作業をお手伝いしました。
2月になると少し落ち着いてきましたが、私達は、避難所の食事が冷たく、野菜が不足しているということを知りました。そこで自分達が何かお役に立てるとが出来ないかと

 

 

 

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